遠く離れて感じる距離
Japanese

遠く離れて感じる距離

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昔の私は、毎日顔を合わせる友人の間で、親しさと距離の微妙さに気づいていました。近くにいても通じ合えない瞬間があり、遠く離れていても心が通じる相手もいました。あの頃は、物理的な距離と心の距離が必ずしも一致しないことを、なんとなく感じていました。

今、私は雪が舞う山あいの町で冬を過ごしています。白く覆われた地面や遠くの木々を眺めていると、ふとした瞬間に近所の方から「ほんなごどねえが?」と声をかけられることがあります。その短い言葉には、標準語の丁寧な挨拶よりもずっと温かい響きがあり、言葉にしなくても通じる「気遣い」を肌で感じます。目に見える距離と、心で感じる距離は、全く違うのだと改めて思います。

遠く離れた家族や友人に思いを馳せると、感情が増幅されることもあります。会えない時間が、思いやりや感謝をより強く意識させるのです。逆に、近くにいた頃には見えなかった相手の優しさや、自分自身の本当の気持ちが、この静寂の中で初めて鮮明に理解できることもあります。

私は今、自分の日本語学習においても、静かに降り積もる雪の下で春を待つような時期にいるのだと感じています。目に見える進歩はなく、平らな雪原が続いているようでもどかしい瞬間もあります。しかし、この静寂の中で、言葉の一つひとつが自分の中で「熟成」され、より深い響きを持って心に刻まれていくのを信じたいと思っています。

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