人魚の愛した船
Japanese

人魚の愛した船

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fiction
romance
creativity
fantasy

「なんで私の妹を助けてくれたの?」

「泣いている女を放っておく男になるわけにはいかないだろ?」と、カイルスは笑いながら答えた。彼の笑顔がとても綺麗だと感じたけれど、私はそのことに驚いて、いや、何を考えているんだろうと思った。

「名前は?」と彼が尋ねる。

「セリナ」と答えると、

「セリナか。穏やかって意味だよね。でも、こんなじゃじゃ馬には似合わないな。」彼はそう言いながら笑った。セリナは彼を睨んだ。

「何よ。それじゃあ、天空神の名前なんて海賊には似合わないわよ」と返した。

彼は黙った。ほら、やっぱりからかわれるの好きじゃないんだと思った。でも、なぜかその悲しそうな顔を見ると、心が痛む。

空が曇り、月が隠れた。その時、彼は静かに話し始めた。

「昔、気球を作りたかったんだ。」彼は苦笑いしながら続けた。「若い頃の馬鹿な夢だった。本当に遠い夢だったな。」

私は短い髪が風に吹かれるのを感じた。もう髪が乾いたのかな、と思った。こんなに長く彼のそばに座っていたのか。気づけば、私は彼に少し近づいていた。

「本当にそう思うの?私にはそうは思えない。」と私が言うと、カイルスの視線が私を捉える、目が真剣だった。その目を見て、少し照れてしまった。

なんでこんな男に恋をしてしまったんだろう。

「海賊は情けを知らず、残酷なものだ。関わらない方がいい。」と、お父さんがよく言っていたことを思い出した。

ごめんなさい、お父さん。もうそれはできなさそうです。恋してもいいのかな。もしお父さんが今の私を見たら、どう思うんだろう?

ーーー

今回の物語は人魚と海賊の恋愛物語です。この物語は思ったより時間がかかりました。恋愛を書くのはちょっと恥ずかしかったけど、新しい物語を書いてみたかった。温かい目で見て頂けら嬉しいです。

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