第4話・大切なモノ
ハンターは何が起こっているのか分からないで、
「お久しぶりだら、人間め。」と、
ハンターの目の前に消てしまった大好きな娘のかわりに、クルピラがいました。
涙が流れて、ハンターはもう生きる気がなくて、言いました。
「もういいんじゃ、殺してもかまわない。でも、命のかわりに、娘を。」
しかし、クルピラは、
「いやだら。森の大切なモノ奪った人間め、
オレさまが人間の大切な者いただくぞら。」と言いました。
「いや、そんな! かわいい娘を! 耐えられない! 俺も殺してくれぇ!」と
ハンターは叫んだ。
でも、クルピラは、目が大きく、強膜が赤く、緑色の目が輝いて、
ただの一言を 「こ・ろ・さ・な・い」と囁きました。
突然、渦のように、ハンターの目の前に、消えてしまいました。
ハンターの娘は、もう二度と会うことはない。
終わり。
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とても楽しく読ませて頂きました。どうもありがとうございました。
文字を持たないヤノマミは、こういうお話を代々語り継いできたのですね。口承文芸特有の力を感じます。
@yumiyumayume さん、「殺してくれて」の部分は、「~てくれる」を使うとき、「彼は恩をくれた」というニュアンスだと思ったが、「殺してくれる」は恩ではありませんね。実は、恩のニュアンスがありませんか。ここに「殺されてもかまわない」との違いは何ですか。
@Dr_Hitsuji 1. 殺されてもかまわない
これは、「誰かに殺されるのを許す」という意味です。 たとえば、自分がじっとしていて、相手が自分を殺してもいいよ、という気持ちを表します。
2. 殺してくれてもかまわない
これは、「誰かが自分を殺してくれるのを許す」という意味です。 「くれて」という部分で、相手が自分のために何かしてくれる、という感じが入っています。
簡単に言うと: