(数学者のオイラーが姫様へ書いた第三通の手紙を日本語にだいたい訳してみました。初めの部分はここにあります。)
では、空気は震動を受け取って音を運び、それに聴覚はその空気にある震動が耳を打って聴覚器官に伝えるということは明らかでございます。そして弾いた弦の音が聞こえていると、弦の発生させた振動の数ほどに耳が打つ音を受けます。従って弦が振動を一秒100発生させたら、耳も打つ音を一秒100受けますし、そしてその打つ音を知覚するのは(単に)音と名づけています。打つ音が次々と等しく続くと、つまり間隔が全て同じなら、音楽に必要とするように一定の音でございます。
しかし等しくなく続くと、つまり間隔が全て同じではないなら、音楽にふさわしくなく、不ぞろいの騒音といいます。振動が等しく発生する楽音について念入りに考えると、まず何よりも、振動にも打つ音にも強さが違っても立てる音が変わりません。ただもっと強く・弱くなるだけで、音楽家が「forte・フォルテ」や「piano・ピアノ」という語を使って示します。
ところが、振動な速さが変わると、つまり一秒に発生した数が変わると、よりも根本的な相違があるのでございます。こうして、ある弦が一秒に振動を100発生させ 同時に他のは200発生させると、二つの生み出した音は本来違います。前者はもっと低く後者はもっと鋭いあるいは高いでございます。
ご覧下さい。低い音と高い音の間である本物の違いはこれでございますよ。この違いを巡って展開している音楽は音の高さによって楽音をどう混ぜたら感じの良い調和になるかと教えていますよね。低い音には振動がより少なく、逆に高い音には振動がより多いでございます。そしてハープシコードの鍵が一秒にそれぞれある一定数の振動と結んでいます。それで、「C」で示す楽音は一秒に振動をほとんど100発生し、「C’’’」(※)で示すのは1600発生します。なので、弦は一秒に100倍振動したら「C」という音をちょうどしますし、50倍しか振動しなかったらもっと低い音をします。
ちなみに、私たちの耳には音が聞こえる限界があります。一秒に振動が20以下あれば低すぎて聞こえなく、4000以上あれば高すぎて聞こえもありません。
※ テキストで、上に三つの線が書いてある「c」が出ます
重要な概念
日本語 フランス語
音 le son
速度 la vitesse
耳 oreille(s)
震動 un tremblement ou ébranlement
震動・振動 une vibration
聴覚 perception d'un son
聴覚器官 organe de l’ouïe
打つ音 un coup
知覚 la perception
間隔 un intervalle
ふぞろいの騒音 un bruit irrégulier
鋭い・高い(音) (son) aigu
低い(音) (son) grave
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